マウスピース矯正装置(インビザライン®)について
マウスピース矯正装置(インビザライン®)とは
マウスピース矯正装置(インビザライン®)はアメリカのアライン・テクノロジー社により開発された『マウスピース型カスタムメイド矯正装置』です。
とくに、前歯の治療やデコボコの治療に特化しています。
前歯部は、口を開くと最も目につきやすい部分です。
この歯並びを段階的に矯正し、きれいな歯並びに改善することで、より素敵な笑顔に近づけます。
インビザライン®の矯正装置は一人ひとりの歯の形に合うように作られ、矯正装置を調整・交換しながら少しずつ歯を動かして歯並びを改善します。 ただし、取り外しの装置なので患者様の協力が必要です。
また、インビザライン®の矯正装置(アライナー)は、透明なプラスチックのマウスピース型です。そのため、装着しても口元が目立たないため、矯正治療をしていることに気づかれにくいのが大きな特徴です。
また、矯正した後に歯並びが戻ってしまう、いわゆる「後戻り」に対しては、アライナーで歯並びを再び整えることも可能です。
マウスピース型の歯列矯正「インビザライン®」は、従来の歯列矯正より負担が少なく、治療中のご自身のライフスタイルを変える必要がありません。
世界中で1200万人を超える方(2022年2月時点)がインビザライン®の治療を受けており、約100ヵ国以上で治療がおこなわれています。
こんな方におすすめ
- 矯正治療をしていることを周囲に知られたくない方
- 金属アレルギーをお持ちの方
- 取り外しができない治療に不安がある方
- 頻繁な通院が難しい方
マウスピース矯正 インビザライン®なら ワイヤーから解放されます。
患者さんの最適な装置をご提案します。
インビザライン®の3つの特徴
Point.1 精度の高い矯正を達成するアタッチメント(特許)
インビザライン®は歯を徐々に動かし、その都度、合う形のマウスピースに取り換えていく歯列矯正法です。
歯を動かす力を補助的に手助けする機能が『アタッチメント』です。
アタッチメントとは歯の表面に付ける突起物のことで歯に加わる力を微調整します。これは、半透明でレジンと呼ばれる歯科用プラスチック素材で、小さな虫歯の治療にも使用します。人体には害はないです。白色で歯の色と似ているため、歯の表面につけてもあまり目立ちません。アタッチメントを付けることで、マウスピースと歯がしっかり密着してフィット性が向上します。
マウスピースは、歯茎から見えている歯(歯冠)に力を加えることはできますが、歯の根っこ(歯根)までは力が加えにくいです。
しかし、アタッチメントがあることで、歯の根っこの部分までしっかり力を伝えられるようになり、歯を引き出す・下げる・回転させる・傾けるなどの細かい調整を行う事がやりやすくなります。
このアタッチメントはインビザライン®の特許です。
他のマウスピース矯正にはない特徴で、マウスピース矯正治療をスムーズに進めていくうえで、重要な役割を果たします。
Point.2 正確にフィットし、高い弾性を持つ素材
インビザライン®のマウスピース素材には、以下の5つの特性があります。
- 正しい剛性
- 装着初期の力が軽減
- 低い応力緩和
- 高い弾性
- 正確なフィット
インビザラインシステム仕様に特化し独自に開発された素材「SmartTrack」は、 他のアライナー素材と比べ、もとの形状をより保持する性能が向上し、より持続的で適切な力で最適な歯牙移動コントロールができます。
より正確に歯牙の形態、アタッチメントおよび歯間空隙に密着するため、優れた熱成形性を発揮します。フィット感と装着感がよく、わずかな力で着脱可能です。
Point.3 信頼度の高い矯正装置
インビザライン®は、世界中で1200万人以上の治療実績(2022年2月時点)があり、数多くの研究がおこなわれている矯正システムです。
豊富な治療実績を誇り、1997年から研究と改良が続けられている。よりよい歯列矯正を提供できるように、進化し続けている矯正システムがインビザライン®です。
インビザライン®の5つのメリット
1.目立ちません
ワイヤー矯正は色のついたブラケットやワイヤーを歯の表面に接着するため、非常に目立ちやすくなります。 一方で、薄くて透明なインビザライン®は、装着しても目立ちづらいため、人前で話す機会が多い方でも安心して取り組めます。
イベントがあるなどの理由で矯正をためらっていた方も、抵抗なくできる矯正方法です。
2.自分で取り外しできます
ワイヤー矯正は、ブラケットを外せないため食事や歯磨きをするのも一苦労です。
インビザライン®は自分でマウスピースを着脱できるため、普段通りに食事や歯磨きをおこなえます。
また、外したマウスピースは自分で洗浄できるため、虫歯や歯周病のリスクが減り、口腔内を清潔に保てます。
ただし、歯科医師から指示のあったインビザラインの矯正装置の装着時間は必ずお守りください。
3.金属アレルギーの方でも安心です
ワイヤー矯正は、一般的に金属製のブラケットやワイヤーが用いられているため、金属アレルギーをお持ちの方は注意が必要です。
一方、インビザラインはプラスチックでできているため、金属アレルギーの方も安心して治療を受けられます。
4. 痛みや口腔内のトラブルを抑えられます
ワイヤー矯正は、ブラケットの凸凹が口腔内を傷つけてしまうことで痛みを生じることがであります。
インビザライン®は凸凹が少ないため痛みや口腔内のトラブルを抑えられます。
また、一人ひとりに合ったマウスピースを作製しているため、痛みを最小限に抑えつつ効率よく歯を動かすことが可能です。
5.通院頻度が少なくすみます
ワイヤー矯正は、調整のために1ヵ月に1回の通院が必要です。
しかし、インビザライン®は、4〜12週間に1回での通院で済むため、仕事や学校で忙しい方にもおすすめの矯正方法です。
インビザライン®のデメリットや注意点
1.歯並びや骨格によっては対応できない場合があります
マウスピース矯正は歯を動かせる距離に限界があります。
八重歯の重なりが強い場合や、噛み合わせの問題が併発している場合は適応しません。また、重度の骨格異常や出っ歯・受け口は、外科手術が必要な場合があるためインビザラインでは対応できない可能性があります。
前歯の凸凹が少なく、軽度の出っ歯や八重歯・すきっ歯の場合であれば、マウスピースで矯正が可能です。
2.噛み合わせが悪くなる可能性があります
インビザライン®で歯列矯正を行っても、治療計画に不備があったり、マウスピースを適切な時間使用していなかったりすると、かえって歯の噛み合わせが悪くすることがあります。
特に多いのは、奥歯の噛み合わせが悪くなったと感じることです。
取り外す頻度が高い場合は、十分に効果が得られず、噛み合わないと感じる事があります。
また、動かしたい距離が長い場合も、治療がうまく進まずに噛み合わせのトラブルが起こる可能性があります。
インビザライン®で噛み合わせが悪くなったと感じた場合には、早めにご相談ください。
2.噛み合わせが悪くなる可能性があります
インビザライン®は、1日のうちで、食事や歯磨き以外の時間(少なくとも20〜22時間以上)は装着しなければいけません。推奨は、22時間以上です。
装着時間が守られないと歯が正しく動かず、治療が長引く可能性があります。 また、インビザラインで歯が動かない場合は、ワイヤーの矯正装置を使用することがあります。
また、治療計画に基づき、順次、作製されたマウスピースを装着して歯を動かす方法であるため、正しいタイミングで交換しないと歯がうまく動きません。医師の指示のもと1〜2週間ごとに新しいマウスピースに交換することになります。
インビザライン®は、マウスピースをしっかり装着することが重要です。
4.毎日のセルフケアは欠かせません
マウスピースを外して歯磨きができるインビザライン®は、他の矯正装置と比べて虫歯や歯周病のリスクは低いです。
しかし、虫歯や歯周病になってしまうと治療の妨げになってしまうため、日頃から歯磨きをしっかりおこなうことが重要です。
また、歯磨きだけでなく、マウスピースのお手入れも必要です。
マウスピースを外した際は毎回手でこすりながら水で洗い流し、それでも汚れが気になる場合は、柔らかめの歯ブラシで洗浄します。マウスピース専用の洗浄剤を使うことで、汚れやニオイを短時間で簡単に除去することができます。 当クリニックでは、マウスピース専用の洗浄剤も受付で販売しておりますので、ご安心してください。
精密検査にiTero element2を使用
当クリニックでは『iTero element2』を導入しています。
光学印象口腔スキャナー『iTero element2』は、ストレスなく精密検査を受けることができる医療機器です。
『iTero element2』は、歯や顎の状態やかみ合わせなどを調べ、治療前に歯の動きをシミュレーションすることができます。シミュレーションを元に、患者様の治療過程や整った歯並びを事前に確認していただき、安心して矯正治療に進むことができます。
当院では、最新の医療機器の設備を用いて正確な診断へと繋げています。
施術の詳細
インビザライン®の治療は施術の範囲に応じて、以下の4つに分けられます。1週間から10日間に0.25mm動かした新しいマウスピースに変えていきます。
- 1.インビザライン® エクスプレス
- 2.インビザライン® ライト
- 3.インビザライン® モデレート
- 4.インビザライン® フル
1.インビザライン エクスプレス
施術範囲 | 上顎14本・下顎14本 |
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施術適応 | 軽度 |
治療期間 | 平均3ヶ月間 |
マウスピース枚数 | 最大7枚 |
こんな方に | ●少し歯並びを改善したい ●時間と費用を抑えたい |
2.インビザライン ライト
施術範囲 | 上顎14本・下顎14本 |
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施術適応 | 軽度 |
治療期間 | 平均7ヶ月間 |
マウスピース枚数 | 最大14枚 |
こんな方に | ●軽度の症例 ●あまり時間をかけたくない |
3.インビザライン モデレート
施術範囲 | 上顎14本・下顎14本 |
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施術適応 | 中度 |
治療期間 | 平均12ヶ月間 |
マウスピース枚数 | 最大26枚 |
こんな方に | ●中程度の症例 ●インビザラインフルより費用を抑えたい |
4.インビザライン フル
施術範囲 | 上顎14本・下顎14本 |
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施術適応 | 重度 |
治療期間 | 平均1〜2年 |
マウスピース枚数 | 無制限 |
こんな方に | ●制限なく治療したい |
矯正治療の流れと料金
①初診(カウンセリング)
初診では診察およびカウンセリングをおこないます。 現在の歯のお悩みをお聞かせください。また、インビザライン®による歯列矯正治療に関するご不明点や質問もお伺いいたします。
また、カウンセリング時にインビザラインの簡易的なシミュレーションもお見せします。リラックスして、カウンセリングをおうけください。
②各種検査
口腔内の診査を行います。
併せて、レントゲン撮影、口腔内写真撮影、顔貌写真撮影『iTero element2による口腔内スキャン、歯型の印象採得などの検査を行います。
③治療計画作成
作成した歯型を米国のアライン・テクノロジー社に送付し3Dデジタル歯列を作成してもらいます。現状と比較しながら、理想的な歯並びになるよう、治療シミュレーションと治療計画を作ります。
作成した治療計画を患者様にご説明いたします。
④矯正治療のスタート
口腔内のクリーニングを行います。
その後に、矯正装置(インビザライン®)をお渡しいたします。
毎日、装着して矯正治療のスタートです。1〜2週間ごとに新しいアライナー(マウスピース)に交換します。
⑤経過のチェック
矯正装置(インビザライン®)の装着が正しくできているか、予定通りに矯正治療がすすんでいるか経過を定期的に確認します。
診察時には、アライナーの調整と口腔内のクリーニングをいたします。
⑥保定期間
歯列が整ったのちに、矯正装置を外します。 その後は、歯を支える骨がしっかりするまでは保定器具・リテーナーを装着。3〜6ヶ月に1回ほど来院していただきます。
⑦補綴治療(セラミック治療)
インビザラインでの矯正治療後、銀歯をセラミック等に交換する補綴治療(セラミック治療)をお勧めしています。お口の中に金属のない状態は、金属アレルギーの心配もないしきれいで美しく安全なのです。
⑧インビザラインを用いたスピード矯正(お勧め)
インビザラインで速く矯正治療を行いたい患者さんは、スピード矯正をお勧めします。
インビザラインの患者様には光加速矯正装置をお勧めします。
光加速装置は、お口の中に光(近赤外線)をあてミトコンドリアに作用し細胞を活性化させるという装置です。細胞を活性化させることで骨のリモデリング(骨代謝)を活発にして、歯の移動速度を上げることができます。
コルチコトミー、コルチシジョン、ピエゾシジョンなどの手術は過去にもありましたが、インビザラインと相性の光加速矯正装置、そのひとつがPBM healingです。
PBM healingとはドイツで設計開発された、光による最先端の矯正加速装置です。
インビザライン®の注意点
1.痛みについて
インビザライン®による歯列矯正中の痛みは、あまり感じられないという方が多いです。ただし、痛みの感じ方は、人ぞれぞれですので全くないとは言い切れません。
しかし、インビザライン®は矯正装置を調整・交換しながら少しずつ歯を動かす方法なので、一般的なワイヤー矯正よりも痛みが生じにくい矯正治療です。
新しいマウスピースを装着したばかりのころ、2〜3日は痛みを感じることもありますが、これは歯が動いている証拠です。
2.治療期間について
インビザライン®の治療期間は4ヵ月〜2年程度です。
治療前に3Dデジタル印象、や口腔内カラー写真などにより歯の動きをシミュレーションし効率よく歯を動かすことができます。
3.マウスピースの装着時間について
インビザライン®のマウスピースは、1日20〜22時間以上装着する必要があります。
しかし、取り外しができますので、お食事の時や歯磨きの際は外しても構いません。もちろん、食事制限もありません。
お酒やタバコはマウスピースの変色や、歯の色素沈着につながるため、おすすめできません。
4.インビザラインの治療中に協力いただくこと
インビザラインの治療中には、アライナー・チューイーをいう少し柔らかめの筒状のプラステックを噛んでもらい、インビザラインのシートをしっかりフィットさせる必要があります。
また、上下のインビザラインのシートに顎間ゴムをかけるのに協力してもらいます。
顎間ゴムとは、出っ歯や受け口の改善に使用する輪ゴムです。
インビザライン®の治療例
当医療法人に勤務する歯科衛生士のインビザラインのケースをご紹介します。
過去に矯正歯科医院での矯正の治療歴がありました。
本人が気になっていたこと
①上の前歯が出てきた
②上下の歯が少しデコボコ
③上下の歯の真ん中を合わせたい
実は、このような2回目の矯正のケースはとても難しいのです。
担当の歯科医師としては2回目の矯正で真ん中を合わせるのは難しい・・・
しかし、当院勤務の歯科衛生士なので、本人にもしっかりインビザラインのシートを装着してもらい頑張って矯正しました。
1.初診
2.インビザライン矯正治療中
3.治療終了
治療後は以下が認められました。
- ①前歯の出っ歯の改善
- ②デコボコの改善
- ③真ん中のライン(正中線)の改善
矯正直後なので・・・歯肉の退縮がありますが歯肉は馴染んできました。
この治療で使ったシート数と治療期間
1回目のスキャンで57枚のシート
2回目のスキャンで11枚のシート
トータル68枚のインビザラインシートで治療を完了しました。
治療期間は、約1.5年でした。